» 2013 » 3月のブログ記事

 まだ冬のコートを手放すのが怖い今日この頃ですが、日もだいぶのびて、風のにおいも春めいてきたように感じます。

 春の桜と言えば吉野。咲き具合ですが今はつぼみまたは一分咲き、といったところだそうです。四月上旬が見ごろですね。

 さて、吉野はその地名から、ソメイヨシノ=染井吉野が植えてあると思うかもしれません(私は思ってました)。でも、実際の吉野山は葉と花が同時に出る「山桜」が主です。
 花だけが先に咲く染井吉野は、東京・染井村の植木屋さんが品種改良したもので、最初名前を 桜と言えば吉野だろう、という事で「吉野桜」としたそうです。
しかし実際に吉野に咲いている山桜と混同してはいけない、ということで、明治時代に「染井吉野」と新たに命名したものなのだそうです。
 なので、あたり一面ミルキィピンク=桜!春!というお花見のイメージは意外と最近の世で作られたものなのですね。

 吉野山の場合は新緑の山の合間に桜のピンクが溶け込んで、柔らかにまじりあっている感じです。単純に花だらけの世界をイメージして最初に行ったときは、あれ…他の木の方が多いじゃないか、などとがっかりしていたのですが、訪れるたび、淡い色彩のあいまいな境界にじわじわと魅力が増し、日本人の美の感性ってこういうこと?なんて思っちゃったりすることができました。

 峠商店では春といっても来年の新春への準備がすでに始まっています。綺麗な木目のお重を見せてもらいました。すべすべです。

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 こんにちは。まさに季節の変わり目、お変わりなくお過ごしでしょうか?

先日「陰陽師Ⅱ」をTVで観ていて、出雲の国がどうとかという場面で、なんだか見たことあるような所だなあと思っていたら、ロケ地が鷹取山(横須賀)という、幼少時代のご近所遊び場でした。
「わたしはいにしえの風景を知っている…?!」なんて事はなかったわけで…

個人的な話を失礼しました。
今日は地元吉野・下市のゆるキャラについて書きます。
「ごんたくん」は町制120年を記念して生まれた下市のマスコットキャラクターで、けっこうカワイイのです。

(画像は下市町HPからいただきました)

某工作番組とは関係ないようです。
下市町が歌舞伎「義経千本桜」3段目、「すし屋の段」の舞台になっていてその主人公「いがみの権太」にちなんでおり、小学生のアイディアの合作なのだそうです。
市HPなどでは
「権太はすし屋の勘当息子だったが改心し、平維盛を救うために命を落とした、恩義を貫こうとする気の優しい人物として描かれる」
と、さらりと説明があって、ふうんそうなのか~と思うところですが、たしか千本桜って中学の音楽の授業でも習ったなあ、と思い出し興味がわいたので、もうすこしこの権太くんについて掘り下げてみます。

まず分かったのは「義経千本桜」というのはおもいっきりファンタジーで、歴史上戦死したとされる武将が普通に生きていたりします。

舞台は源平合戦直後の時世、合戦にかかわった者たちのその後のストーリーが展開されるという、オムニバス形式になっています。
「すし屋の段」は3段目の後半部分のことで、前半の「木の実・小金吾討死」と合わせ、敗れて落ちのびている平維盛に関するお話です。義経も弁慶も出てきません。

(内容)
吉野山のふもと、下市にあるお鮨屋にイケメン使用人が住みつくのですが、これが平維盛です。「弥助」と名乗っています。
鮨屋の主人は維盛の父・重盛に恩があり、事情を知ってかくまっています。

この鮨屋の主人には「権太」というダメ息子がいます。
「いがみの」というのは「喧嘩・いがみ合う」ではなく「ゆがんだ性格の・嫌われ者の」というニュアンスだそうです。
この権太は平気で犯罪をしたりして勘当されているのですが、実家に帰ってきて母親を言いくるめお金をだまし取ったところ、父親が帰ってきたので慌てて手近にある寿司桶のひとつにお金をかくし、自分も隠れます。
どうでもいいですが額にして500万弱くらいです。とんでもないやつです。

隠れて聞いた父親の話から、使用人弥助=維盛だと知ってしまった権太。鎌倉幕府の役人に差し出せばいい金になる!と、さっきの寿司桶を重さで適当に判断して手に持ち、家を飛び出していきます。
ところがこの寿司桶には、父親が維盛の身代わりとして差し出そうと準備していた小金吾(維盛の妻子の用心棒。すでに死亡)の生首が入っていたのです。
ひえ~。

その後やってきた梶原一行(幕府の捜索隊。悪役)に、意気揚々と「維盛の首をとった」と差し出す権太。その場にいた父親は、権太が帰ってきていたことや寿司桶の中身がすり替わっていることなど知らないので、命にかえても自分が守ろうとした維盛様を権太が金の為に殺してしまった!と思い、「親父様!」と向かってくる息子を刀で刺してしまいます。

権太は刺された状態で、間違えて生首桶を持ってきてしまったのを知った時「今が性根の直し時」と思った、このまま身代わりの首を差し出して母親からもらったお金も維盛さま(無事)にあげようと思っていた、等といきなりイイことを言い息絶えるのでした。

・・・改心のタイミングが非常に悪かったのですね。
このお話の中には恋愛あり、頼朝がらみの感動をさそう続きもあり、なのですがこれまでにします。

ここまで知って思ったのは、ゆるかわ☆ごんたくんのスマイルに隠された悲しい過去(?)の重み、
そして持っている桶の中身ってなんだろうね!ということです。

調べたら海老蔵さんが権太役をやっていたり、歌舞伎もいちどしっかり観てみたいなあ、と興味のわくこの頃です。
ちなみにここに出てくるお鮨屋さんは「つるべすし弥助」という下市に実在するお店で、鮎料理を中心に美味しい懐石やお鮨をいただけますよ。

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